青い空






「私ね、あの青空にいくんだ。」

彼女はそう言って両手を空にかかげた。

悲しそう、でも澄んだ瞳をして空を眺めている。

「え・・・?」

俺はその言葉を聞いてドキッとした。

「・・・みつぐだって・・・知ってるんでしょ?
私が・・・もう長くないこと・・・。」

さっきまで空に向けていた手をおろし、悲しい表情だけを残した。

「・・・。」

彼女は僕が困っていることをさっとったのだろう、僕の方を向いて笑って見せた。

すると突然彼女は僕に抱きついてきた。

僕はとまどった。

「少しだけ・・・少しだけこうさせて・・・。」

彼女のぬくもりが伝わってくる。

と同時に彼女の震えが伝わってきた。

「・・・泣きなよ。」

僕に言えることはこれくらいだった。

だけど彼女は「ありがとう。」と言って僕をもっと強く抱きしめた。

・・・支えられてるのは僕の方だ―――・・・

僕にはもう彼女をどうすることもできない。

日に日に弱ってく彼女を見ていることしか――・・・



面会謝絶になってから一ヶ月・・・

彼女はあのとき見た青い空にたびだった。

僕は泣くこともできず、ただなぜ神様は彼女を選んだんだろうと思うばかり・・・



あるとき一通の手紙が届いた。

(僕宛だ・・・。)

宛先人は彼女だった。

最初は驚いた。

だが中を読んでみると彼女が青い空に旅立つ前に書かれた物だとわかった。

きっと彼女の母が届けてくれたのだろう。












―みつぐへ

元気にしてますか?

私は・・・言うまでもなく元気です(笑

最近いろんな検査があって大変です。

どうせ私は長くはないんだからほっといてくれたらいいのにね。

あぁ、みつぐに会いたい・・・会いたいよ・・・


字がふるえていた。ところどころ滲んでいるところもあった。


あのときみたいに笑顔でみつぐと笑いあいながらアイス食べたり、ふざけあったりしたい・・・

・・・好きだよ。

ずっと好きだった。

でももういいの。

みつぐは、私よりうんとかわいい彼女をつくって、私よりうんと長生きして。

それが・・・私の最後の願いだから・・・

愛より――


僕はこれを読んだあと、彼女がいってから初めて泣いた。

あふれる涙、止めようとしても止まらない。

次々流れでてくる。

「・・・うっく、僕だって・・・君のことがずっと好きだった・・・。」

手紙を握りしめながらそうつぶやいた。

固く閉じた目からは涙と一緒に思いが流れていくようだった。

この思いは彼女に届くだろうか?

ううん、届かなくてもいい。

僕だけのものにしてあげるから・・・。




END




+++あとがき+++

どうでした?
なんか感動もの(?)が書きたくなり、書いたものです。
たぶん『世界の中心で愛をさけぶ』に影響されたと思われます。